沈黙の艦隊　原カントクに捧ぐ釣果

久しぶりに釣行記を寄稿させていただきます。
改めてこのコーナーを見直しましたが記念すべき第一回目は私だったのですね。
それもそのはず、実に一年半ぶりの釣行です。
すっかり出不精になってしまいました。

ということで横須賀は大津港までワッキーさんとボート釣りに行って参りました。
ワッキーさんに聞くと朝４時半には行かないと駐車場所を確保できないとのこと。

何せＧＷ真っ只中です。
普段は時間にルーズな私ですが今回は余裕をみて２時４０分、東久留米の自宅を出ました。

私の車にはＥＴＣやカーナビなどのハイテク機器はありません。
料金所ごとに

「おはようございます」

と挨拶をして料金を支払っていきます。
（いや～、もうみんなＥＴＣついてるんですねー。）

気合を入れるためベイエリアスラッシュの雄
ＥＸＯＤＵＳを大音量でかけてノリノリで高速を制限速度を守りつつ飛ばします。
でもナビがないので分岐点ごとに減速。
目を皿のようにして確認します。
幸い渋滞も無く、無事横浜横須賀道路にたどりつき
４時半ぴったりに大津港に到着。
ワッキーさんと合流しました。
風はほとんどなくベタ凪状態です。

出船は６時半なので仕掛けを準備します。
ワッキーさんはアジねらいのサビキで２本
私はサビキ１本とキスねらいの天秤で１本（いまだにバスロッドを流用）。
ボート券、コマセ、イソメを購入し
朝食を済ませゆっくりしているとワッキーさんが

「トイレ行った？ボートだから大きい方もしておいた方がいいよ。」

とのお言葉。
日頃お腹が弱く通勤時に途中下車することも多い私ですが
その時は何ともなかったので小だけにとどめました。

このことが後にとんでもない事態を引き起こします・・・・

６時半、それぞれ１艘ずつに乗り込み出船。
ワッキーさんに聞くと排水溝沖に行くとのこと。
私もとりあえずついていきます。
波がないので好調に進みます。ワクワクしてきました。
ポイントを決めてアンカーを投入。
コータローさんの寄稿を思い出し慎重に入れました。

まずはサビキでアジをねらいます。
前回はコマセかごの使い方を誤り、あっという間にコマセを使い果たしてしまうという
失敗を犯したので間違いなくセットを確認して投入。
しばらくはコマセまきだなと思っていたら２投目でヒット。
１年半ぶりにアジの顔を見ることができました。
３投目でまたヒット。これは期待できそうです。

そして４投目のコマセをセットしていた時です。

「ギュー！グルグルルルルルー・・・」

突然、お腹が鳴りました。間違いなく腹痛の前兆です。
しまった、ワッキーさんの忠告を聞いておけばよかった。。。
しかしもう後の祭りです。間も無く腹痛が始まりました。

意識しないよう釣りに集中しようとしますがもういけません。
数分後、ついに竿を手放し船べりに両手をかけたまま身動きできなくなってしまいました。
通りがかった人は釣りもせずただ遠くを見ている私を不思議に思ったことでしょう。

「帰港するか・・・」

しかし波が無いのをいいことにかなり沖まで来てしまいました。
とても間に合うとは思えません。

「ここでやるしか・・・」

禁断の考えがよぎりますがとてもそんな勇気はありません。
猛烈な腹痛に耐えながら堂々巡りの思案にくれるなか
ふと、少し離れたところにいるワッキーさんを見るとちょうど１尾目をゲットしたようでした。

「釣れたよ！」

の声に私は黙ってうなずくのがやっとでした。

３分後。

とにかく動こう・・・。

腹に力を入れないよう必死の思いでアンカーを引き上げました。
そしてワッキーさんのそばに寄って状況を説明しました。

すると

「ここでやっちゃえば？」

その瞬間、私は決断しました。
日本海海戦時の東郷長官の決断もかくやとの思いがよぎります。
振り返れば遠く三笠公園にある旗艦三笠が見えるかもしれませんが
とてもそんな余裕はありません。
取り舵一杯、１８０度回頭。
誰もいない沖合を目指します。
吹き始めた風に乗り３分ほどで半径２００ｍ内に誰もいない位置に着きました。
念のためこちらに向ってくる船がないか気力を振り絞って中腰になり確認します。

ヨシＯＫ、場所は決まった。さてどうしよう。
直接海へは不可能です。とてもバランスがとれそうもありません。
コンビ二のビニール袋にしようと思っていましたがいざ敷いてみると風にふかれて不安定です。
もし狙いをはずしたら・・・。

その時あるものが目に入りました。コマセ桶です。
まだコマセを入れていなかったので何も入っていません。
ボート屋さんには申し訳ありませんが
もはや限界を越えつつある痛みに躊躇する余裕はありませんでした。

これしかない。

爆撃目標は決まりました。
すばやく体勢を整えます。失敗は絶対に許されません。
真珠湾攻撃にのぞむ淵田隊長の覚悟です。

そして、今日のその時―

平成２１年５月４日　午前７時１５分

私のう××伝説にまた新しい１ページが追加されました。
その時の開放感と目の前に広がる大海原の美しい景色を私は終生忘れる事はないでしょう。

さて、いつまでも感動に浸っている場合ではありません。

一息ついてカバンを開けると、チリ紙がない！
またもやピンチです。

使えるものは・・・
首にかけていたオレンジのジャイアンツタオルに気が付きました。
東京ドームでみんなが振っているヤツです。
これしかない。
迷っている時間はありません。
（原カントク、ごめんなさい。）

ミッションコンプリート。

・・・あとは証拠隠滅するのみ。

大変申し訳ありませんがコマセ桶の特製コマセは海に撒かせてさせていただきました。
思わず「海ゆかば」の一節を口ずさみます。
そしてコマセ桶をきれーいに洗いました。
最後にジャイアンツタオルをたたんでビニール袋に封印。
隠蔽工作完了です。

そして何事もなかったかのような顔をして釣りを再開しました。
移動が面倒だったのでその場で再開したのですが特性コマセのせいかさっぱり反応がありません。
アジ１尾を追加したのみで午前中が終わってしまいました。

風が強くなってき、いつのまにかワッキーさんも見えなくなってしまいました。
いつもだとそろそろ上がろうかと考える頃ですが今回は違います。
というかこのままでは釣行記の大半が特製コマセの話で終ってしまいます。
場所を変えて続行。
２本の竿を交互に使います。

しかし渋い。
気がつくと時刻は午後３時。
コマセも使い切ってしまい、あとはイソメでキスを狙うのみです。
しばらくするとアタリ始めました。
そしてようやく本日初のキスをゲット。アジと違い小さくてもよく引きます。
もう一尾追加したあとイソメが結構余っていたので長めにつけて大物を狙ってみます。
すると、投入したとたんにゴツンとあたり、かなりの引きがきました。
大キスか？それとも・・・
１５年使っているバスロッド、ダイワプロキャスターＺが絞り込まれます。
我ながらオーバーアクション？と思いつつ周りにアピールしながら引き上げるとなんとカサゴでした。
沖合いのうえ、根も感じられない所だったので意外でした。

良型のカサゴ

面白くなってきたぞと思いつつ時計をみると既に３時４０分。
帰港時間まであとわずかです。
残念ですがあきらめて泣きの１投を投入したままアンカーの引き上げにかかりました。
するとロープにやたらとクラゲがからんできます。
素手なので触手にさされたら大変です。

どうしよう・・・

私に残されたものはただ一つ。
再びジャイアンツタオルの登場です。
慎重にたたんで先ほどの使用部分をよけて使います。
（原カントク、ごめんなさい。今年も応援しますよ。）

ようやくアンカーを引き上げ、泣きの１投の引きあげにかかります。
すると重い手ごたえ。ですがほとんど反応がありません？？？
ヒトデか？
引き上げるとクラゲの触手にからまれて死んだようになっているキスでした。
しかも本日の最大サイズでした。

アンカー引き上げに時間を取られましたが
なんとか４時ギリギリで帰港できました。
ボート屋のおじさんにボートを引き上げてもらい上陸しました。
もはやあの出来事の痕跡は何一つ無く
コマセ桶もお借りした時よりきれいになっているにもかかわらず
ちょっぴりドキドキしてしまいました。（ゴメンナサイ。）

最終結果
アジ４　キス３　カサゴ１　カタクチイワシ１　サッパ２

ユズキチさんの釣果

先にあがっていたワッキーさんは猿島の方まで行っていたそうです。

ワッキーさんの結果
アジ１０　イワシ６　カサゴ１　サッパ２０（サッパはすべてリリース）

さすが常連です。

ワッキーさんの釣果

帰りは思いきりＧＷ渋滞にハマり３時間かかってしまいました。
帰宅後アジと一番大きなキスを刺身に
翌日残りのキスを天婦羅にカサゴはから揚げにしてまるごとおいしくいただきました。

ユズキチさん　カサゴの唐揚げ

ハプニングはありましたが
久しぶりの釣行だっただけにとても満足です。

いやー、釣りっていいものですねー。
今年は行きますよー。

簡易トイレ必ず買います。

ユズキチさん久しぶりの寄稿ありがとうございます。思いっきり腹抱えました。
いや～面白過ぎます！切羽詰った状況や心情までもリアルに伝わってくるんですが
ユズキチさんの間合いというか・・文章や言い回しが面白く、ストーリーの中で
これでもかと出し惜しみせず何度もヤマ場がやってくるところ・・ニクイですね～
釣行記に戻ったと思わせておいて、忘れた頃に再び原カントクが登場するところなどは
ドリフの大爆笑ばりの黄金構成ですね！
ミッションコンプリート後に追釣したアジは間違いなく特殊コマセに寄ったものですね。
お味はどうでした？
突然のミッションがなければアジ連釣のパターンだっただけにちょっともったいない気も
しますが、テンビンでリカバリするところなど、釣りの方もサスガです。
キスもカサゴも大きかったですね。